リメイクSS・長門の日々

最終話『愛の果てに』前編

「なぁハルヒ」 「何よ」 「4年前、何してた?」 「……」 「俺と初めて会った時のこと、覚えてるか?」 「……」 ハルヒが俺の右手になってから3日目の朝。今日は土曜日だ。色々やりたいこともあったので俺の権限で不思議探索は中止にした。そして今からハルヒ…

第14話『ど根性右手』

それにしてもあの世界でのあのセリフを噛まなくて良かった。良くあんな長い名前をスラスラ言えたな。追い詰められれば光る男だな、俺は。そう、こんな不安感のかけらも無いような思考が出来るのも、ちゃんと帰ってこれたという実感が今猛烈に沸いているから…

第13話『"長門"有希の憂鬱Ⅰ』

彼がいなくなる。こんな暗い公園に一人ぼっち。 わたしは情報改変を施し、憂鬱な毎日を過ごす。彼がいない毎日は、わたしにとって憂鬱そのものでしかなかった。……会いたい。 それからわたしは毎晩この公園に通っていた。寒々しい夜の公園はわたしの身を……心…

第12話『長門"有希"の憂鬱Ⅲ』

急に天井が爆発したかのような勢いで割れた。誰かがライダーキック風飛び蹴りでブチ割ったようだ。そいつは勢いを保持したまま俺に向かってナイフを構えて突進してくる朝倉を蹴飛ばす。朝倉は凄い勢いで5mくらい吹っ飛び、鈍い音を立てて壁にぶつかる。壁…

第11話『長門"有希"の憂鬱Ⅱ』

俺は、有希の世界改変により、これまた大変なことに巻き込まれてしまった。時間が入学時まで戻り、さらにはこの世界の長門(有希だと思う)が完全にではないがハルヒ化してしまったのである。そして、俺は元の世界の長門があらかじめ用意してくれていたらしい(…

第10話『長門"有希"の憂鬱Ⅰ』

サンタクロースをいつまで信じていたか、などというたわいも無い世間話にもならないくらいのどーでもいいような話だが、それでも俺がいつまでサンタなどという想像上の赤服じーさんを信じていたかというとこれは確信を持って言えるが最初から信じてなどいな…

第9話『新たな世界』

暗い。たぶんもう8時くらいになってるだろうな。吹きすさむ風がほんの少し肌寒く感じられる。それは体感温度ではなく、精神的なものかもしれない。とにかく、俺は鳥肌が立ってしまっている。公園のベンチには誰もいない。見渡す限り道路には車も通ってないし…

第8話『はじめてのゆうえんち』

さて、寝る前にすべきことがあるな。 明日は日曜日。今の俺に対して日曜日という言葉は心底緊張させるものにある。なぜなら、俺には今恋人といっていいのかは分からないが、お互いに好きだと言い合った仲の長門がいるからだ。これは一般的に見て、恋人と言え…

第7.5話『淡い想い』

今日、あたしは掃除当番だから、部室に行くのが遅れる。それをキョンに伝えると、キョンはいつもの仏頂面で返事をする。キョンは有希の方ばっかり見てる気がする。 なんで有希ばっかり。 あたしは無意識に、キョンにいつも言っているようなセリフを吐く。す…

第7話『淡い想い』

……ユサユサと、俺の体が揺さぶられる。昨日は早く寝たとはいえ、疲れていたのでまだ眠い。そんな俺の気持ちを察さずに、誰かが俺の体を揺さぶり続ける。 ん?…休みの日ぐらい……もうちょっとだけ……。 「……きて……起きて……」 「ん?長門か……?」 「……有希」 「…

第6話『愛の証明』

昼休みにSOS団室でちょっとしたトラブルがあったが、ともかく楽しい弁当の時間を過ごせた。少なくとも俺は満足しているつもりだ。俺の弁当はいつも母さんが作ってくれるわけだが、実は俺の母さんの弁当は物凄くうまいのだ。どれくらいかというと、これで店を…

第5話『恋のスクランブル』

起きる瞬間ってのは自分でも分からないもんだ。そもそも、起きる瞬間ってやつの定義が分からん。 脳が起きた瞬間か?目を開けた瞬間か?体を起こした状態になった瞬間か?……なぜこんな小難しいことを朝っぱらから考えなきゃならんのだ。 まぶたが重い。出来…

第4話『甘すぎる暴走』

いつもは一人寂しくあの坂道をヒーコラ言いながら下っているが、なんと今日は一人ではない。長門がいる。女子と肩を並べて下校する、なんてのは実に学生青春ドラマ的で、俺だってそういう生活を夢に見なかったかというと嘘になる。そして今、俺はその夢を実…

第3話『熱愛たる理由』

第3話『熱愛たる理由』 教室に着いた。また授業が始まった。しかし、俺は放課後の部活で長門の休みの言い訳を考えていた。 ―――で、一番ベターで安全なのが、『学校も休んでるみたいだし風邪かなんかだろ』となった。「風邪だろ」と言い切ったらまたハルヒに…

第2話『秘密な関係』

俺は毎朝のようにお手軽な強制ハイキングをいやいやながら満喫している。 いつもと同じ風景。 いつもと同じ坂道。 いつもと同じカバンの重み。 ただ―――いつもと違うのは―――俺の右手。 俺の右手にはミニマム化した長門がいる。いや、いるっていう表現はおかし…

第1話『右手が恋人』

退屈な学園生活を楽しく送るには、みんなは何が必要だと思う? 打ち込めるスポーツ? 夢中になれる趣味? まぁそれも確かにアリだが……。 俺にはもっと大切なものがある。 それは…… 恋人。 俺はキョン……とみんなからは呼ばれている。不本意ながらな。 高校1年…