第7話『淡い想い』


 ……ユサユサと、俺の体が揺さぶられる。昨日は早く寝たとはいえ、疲れていたのでまだ眠い。そんな俺の気持ちを察さずに、誰かが俺の体を揺さぶり続ける。

 ん?…休みの日ぐらい……もうちょっとだけ……。
「……きて……起きて……」
「ん?長門か……?」
「……有希」
「そうか……じゃあもう少し、寝かせてくれ……」
「起きないのなら……こうする」

 ん?なんかズボンがもぞもぞ、と……ってやめろ!有希!

 とっさに左手で右手を掴む。
「……だめ?」
「何がしたいのかはよく分からんが、駄目だ」
「……けち」
 俺はけち、と言われるような行動はしていないがな。
「……起きた」
「……それが狙いだったのか?」
「そう」

 なんか後付けみたいな気がしないでもないが、そんな細かいことを気にしないのが俺の特徴だ。許す。とりあえず、起こしてくれたことには感謝しておこう。

「起こしてくれて、ありがとな、有希」
「……」
「そういや、今日は9時からだっけか」
「そう」
「ん?……今、何時だ……?」
「8時32分」
「もう遅刻しかけてるな、早く支度して行くか」
 ……やっぱ朝の準備やらは、一番困るな。風呂の次に。

 駅前に向かって自転車を飛ばす。

 ……昨日のあの出来事の後日談を、少しだけ語ろう。俺の告白の後、俺と"長門"は初めてキスをした。いままでに"あの"長門との経験は2回ほどあるが、あれは多分、違うんだろうな。んで、その後は普通に何事も無かったかのように各々で家に帰宅し、いつものように、飯を食い、風呂に入り、ベッドに寝転んだ。その時いろいろ考えたかったんだが――――眠かったんですぐ寝ちまった。

 着いた。
 ちなみに、今日はいろいろ考えた結果、有希は包帯無しで、俺の力で極力隠すということになった。なぜかって?そりゃああれだ。昨日の悲しそうな表情を見てたら、無理にもなるだろうよ。

 お、いたいた。私服姿の、長門と朝比奈さんとどうでもいい古泉だ。……ってあれ?なんか一人足りない気が……。

ハルヒは来てないのか?」
「どうやら遅刻のようですね」
 古泉が俺の問いに答える。どうでもいいが、俺の背後に立って首筋に息を吹きかけながら喋りかけるな。気持ち悪い。……ところで、昨日、閉鎖空間は出たのか?
「いや、発生しませんでしたよ」
「そうか」
「何かあったんですか?」
「いや、……いい。それよりも、お前が何も把握してないなんて、珍しいな」
「機関からは何も聞いてませんよ」
 そうか。

 昨日あれだけ泣いておきながら、ショックじゃなかったなんて有り得ない。でも、古泉は閉鎖空間は無かったと言っている。……どういうことだ?

「おや、どうやら来たようですよ?」
 本当だ。ハルヒが赤信号に引っかかっている。

 信号が青に変わり、俺らの所にツカツカと歩いてやってくる。
「おはよっ!」
なんでお前は朝からこんなにハイテンションなんだ?
「うるさいわね〜……キョンのくせに……」
……ところで、今日はお前のオゴリなんだよな?
「団長は無敵なの!よって無し!」
「意味が分からねぇよ」
「じゃあ、あんたのオゴリね」
「……」

 相変わらずの傍若無人さに、俺はほとほと辛苦するね。ところで、昨日のことはもうサッパリ忘れたんだろうか。もしかしたら、今はとんでもなくキツイんだけど、無理して気丈に振舞っているだとか………ってあり得るか?ハルヒに。

 まぁ、いい。俺のオゴリはもう規定事項みたいなもんだからな。
「それでこそ、SOS団専属の雑用係よ!」

 そんなこんなでいつものように俺はオゴらされた。あぁもう、なんでコイツは俺のオゴリなのにこんなに食うんだろうか。いや、俺のオゴリだからか?……こんなこと、考えたところで何も変わりゃしないな。だが俺のサイフの中身は確実に減っていく。南極大陸も真っ青だ。

 そして始まったクジ引き。出来ることなら長門と一緒がいい。なんて甘いことを考え込んでいるのはまだ正常だよな?

 それぞれが爪楊枝製クジを引く。お、印は……無しだ。他の皆は古泉が印有り。朝比奈さんも有りだ。ということは、俺は長門ハルヒが同じグループのようだ。
 嫌な予感がする。昨日の出来事が、俺の心を痛めつける。

「古泉君はしないと思うけど、いくらみくるちゃんが可愛いからって襲ったりしちゃダメよ!」
「仰せの通りに」
「じゃあ行きましょうか!キョン!有希!」

 古泉が注意されるなんてそうとう珍しいな。本当にありえないのにな。だってあいつは……いや、俺の気のせいだ。とりあえず古泉、マジで朝比奈さんを頼んだぞ。
「分かりました」
「んじゃ、行くか」
「みくるちゃん達は北側ね!あたし達は南側を調べるわ!」

 ハルヒ長門は俺を挟むようにして歩き出した。
 ……話しかけづれぇ……っ!まず空気が重過ぎる。
「ふ、二人とも、もうすこし笑顔になってもいいんじゃないかー?」
「……」
「……そうね」
 さっきの俺の問いかけは最後に声が上ずってしまった。まぁ、いい。それなりに重い雰囲気は無くなりつつありそうな気がしないでもない。

 な、なぁ、ハルヒ。どこに向かって俺達は歩いてるんだ?
「知らないわよ」
「……お前、どっか行きたいところあるか?」
「無い。全然無い!」
「なんで怒ってるんだ?」
「あんた、左腕、見てみなさいよ」
 ……あ。長門が俺の左腕にべっとりねっとりくっついている。さっきから歩きにくいな、と思っていたが……。なんで気がつかないんだ?さっきの空気の悪さもこれが原因か?

「……あたしも、いい?」
「は?……好きにしろ」
「……ん、じゃあ好きにさせてもらうわ」

 俺が好きにしろ、という言葉を行った瞬間、ハルヒがピクッとしたが、理由は知らん。ハルヒ長門同様、俺の腕にくっついた。
 ……っ!ヤバイ!右腕には有希がいるじゃないか!俺は必死に有希がハルヒに見つからないようにした。

 って、おいおい、二人とも……なんか当たってんだが。
あててんのよ!」
「あてている」
 さて……すでに俺の理性は崩壊しているが、かろうじて本能も自粛してくれてる。まさか本能さんもこんな事態が来るなんて思ってなかっただろうな。

 ところで、これからどこへ行くか、だが……行きたいところあるか?
「無いわね」
「無い」
 じゃあ……そうだな、えー、……買い物、なんてどうだ?
「ちょっと!不思議探しなのにどうして買い物なのよ!」
 じゃあ逆に聞くが、買い物に不思議が無いと言い切れるか?
「……そうかもね。買い物、行きましょ」
「そう」
「どこ行く?」
 ……それはお前に任せる。
「ん〜……じゃあねぇ、ランジェリーショップなんてどうかしら?」
 なんだそれ?……まぁ、そこでいいんじゃないか?
「……じゃ、行きましょ」
「……」
 どうやら長門が少し焦っているような表情を見せた気がするが、気のせいだろう。

 そして着いたのは下着屋だ。
 もしかしてランジェリーショップってのは下着屋のことだったのか?さて……俺はどこで暇つぶししていようか。
「何言ってんのよ、あんたも来るの!」
「は?俺は男だぞ?」
「一応同じグループだから離れちゃダメでしょ!」
「……」

 俺は泣く泣く羞恥プレイをさせられることとなった。……長門、知ってたなら教えてくれたっていいじゃないか……。
 俺はハルヒ長門の後をなるべく周りを見ないようにしながら着いて回った。うぉ、あんなヤラシイのまで売ってるのか……。げっ!これはヤバいんじゃないか?横が丸見え……?

「マヌケ面」
うっ……と、とにかく、早く買って戻ろうぜ。
「ふっふん。こんなの、どう?」
ば、バカじゃねぇのか?!

 ハルヒが手に取ったのはさっき俺が見たのよりキワドイ、まさに見てくれと言わんばかりの……って何考えてんだ、俺は。
「……どう」
 長門まで訊いてきた。
 ……すいません、鼻血出そうです、先生。……先生って誰だ。長門が自分の体の前に持ってきた服は、いわゆる紐ブラ紐パン……だった。それを直に着ている長門を思わず想像してしまう。
 ……うわっ!
「……」
「あ、あんた何考えてんのよ!店出るわよ!」

 俺は鼻血をマジで出してしまった。でも、あれは致し方無いだろう。想像したらまた鼻血出そうなんで、止めとく。でも脳内yukiフォルダに100万回保存した。家でじっくり見よう。
 今はとりあえずハルヒが用意してくれたティッシュで鼻を押さえている。

「ありがとうな、ハルヒ
「べ、別にいいわよ……」
 どちらかというとあれを見せてくれたことにも感謝したい。むしろそっちが主だな。もちろんこんなこと、声に出してなんか言えない。言えるはずが無い。

「そろそろ時間だわ」
 ハルヒが呟く。しかし、また両腕をガッシリとホールドされてしまった。右腕からは高校生にしては大きめな柔らかさが、左腕からは小ぶりだけれど俺の好みの大きさの……って何考えてんだろうな、俺。駄目だ、こんなんじゃさっきの二の舞だ。
 去れ!煩悩よ!消え去れ!
 しかし、俺がこんなに必死になってまで煩悩を殺しているのに、なんだってこの二人は俺を陥れようとするんだ……。頑張れ!俺の理性!なくなれ!煩悩!そして早く目的地に着け!

 ……なんて馬鹿馬鹿しいことを考えながらも、やっとのことで目的地に着いた。その目的地とは、朝に行ったファミレスだ。ハルヒが爪楊枝製クジを出す。朝とは逆周りに引くようで、俺は最後だ。自分で手を下すことも無く、相手が分かるってのもいいもんさ。
 ……ハルヒが印無し、長門が有り、朝比奈さんが無し。そして注目すべき、どーでもいい古泉は……っ!?
 ……印無し、だ。ということは必然的に俺は印有りになり、長門とペアである。俺は心の中でガッツポーズを取った。なぜなら、長門と一緒ならまず危険なことは起こらない。そして、俺は、長門が………あとは言わんっ!


 兎にも角にも、俺と長門は一緒に図書館へ向かった。そこまでの行動は省略させてもらう。
なぜなら、朝とあんまり変わらないからだ。変わったところは、というとハルヒの古泉へのセリフが、俺へのセリフに変わったことくらいか。
キョン!いくら有希が可愛いからって、襲ったりしちゃだめよ!」
 しねぇよ!……たぶんな。まぁ、実際のところ、俺が口にしたのはしねぇよ!だけだったが。

 長門はさっきまでのように、俺の腕にくっついた。……俺が今、とても幸せな気分になっていることを誰が咎めようか。純粋に、この空間に俺と長門で歩いていることが嬉しい。こう、肩を寄せ合ったりして、な。

 図書館に着いた。休みの図書館ってのはけっこう人が多いもんだ。まったく、暇人どもめ。まぁ、俺もそれに含まれるんだろうけどな。
 長門はフラ〜ッとした足取りで、本を選びに行く。どこか嬉しそうだ。さすがは読書大好きっ子だな。
 ふと、オススメというゴシック体で書かれた可愛い文字が貼り付けられた本棚が目に入った。さすがにここまでオススメをしているんだから、ちょっと読んでみようかという気に駆られる。俺がその本棚で目に付いた本は、ある小説だった。
 その本を手に取り、少し座り心地の悪い椅子に座り、時が経つのも忘れて読み始めた。

 この本の内容は――――
『小さい頃のトラウマで感情を亡くした少女が、あることをきっかけにある男と出会う。そしてその男と感情を取り戻し、いつしか愛を誓い合う』
 ―――というものだった。俺は読み終わって、本を閉じた頃に気付いた。


 俺は泣いていた。……悲しみに見舞われて?違う。この本は悲しみで泣く本じゃない。……そんなことは分かってる。分かってるが……。
 感情を亡くしたことで小さい頃から楽しい事が何も無かった、という表現があった。それはまるで、昔の長門を指しているかのようで―――
 なんで俺は前までの長門のことを気にかけなかったんだ。しかし、今は違う。感情を取り戻しつつある。
 そのことが今の俺にとっての心のつっかえを取り除いてくれた。
 良かった、本当に良かった。
 今なら恥ずかしがらずに言える、愛、してるぜ……長門……。

「本当?」
 ってうわぁ?!……有希か。
 俺が大声をいきなり出してしまったせいで周りの利用客達がこっちを向いた。すいません、皆さん。

「……本当?」
 有希がもう一度俺に訊いてくる。仕方が無いのであぁ、とだけ返しておく。
「……言って」

 俺は有希の耳元に口を近づける。
「愛してるぜ、………有希」
 なぜか俺は有希と呼ぶことにとてつもなく恥ずかしさを感じた。ついつい長門と有希を重ねてしまう。いや、実際には同一人物なんだろうがな。
「厳密にはわたしではない。けれど……」
「た、確かにそうだな……」
「……嬉しい」
 そうか、そんな顔を見てると俺もなんだか嬉しくなるぜ。

「そろそろ」
 ぅあ?……長門か。いつから……後ろにいた?
「あなたが本を読み終わった頃から」
 う、最初からか……。
「そう」
 ……戻るか。
 長門は無言のまま首を縦に数ミリ程振った。

 来た道を帰っていると、長門がこんなことを言い出した。
「右手を戻す」
 あぁ、もうあれから18時間経ったか。でもここじゃ駄目じゃないか?
「ここはあと13分ほど誰も来ない」

 周りを見渡せば、確かに人通りが少なそうな場所だ。でも、外でするのにはさすがに気が引けるぞ。
「大丈夫。すぐ終わる」
 ……だろうな。……まぁ、いいか。
「出して」
 ……あぁ。しかし、その言葉に少しドキッとしてしまったのは内緒だぞ?……大丈夫だ、ぬかりは無いぞ。このヴォイスもちゃんとyukiフォルダに入れておいた。あとで聞こう。……なんつってな。

 俺は右手をその場に出す。有希が顔を覗かせる。長門は、俺の右手を手に取り、上の開いているところから手を入れる。この瞬間は3度目になるが、慣れないな。いや、慣れたら慣れたで、それは困るんだがな。

 次の瞬間、俺の右手は元に戻っていたので、すぐに抜き取る。長門は少し惜しい、というような顔をした。それはもう、可愛かった。というより、長門がいとおしい。しかし、そんなことを考えているとまたいろいろありそうだ。やめよう。

 長門がもの欲しそうな目で、こっちを見ている。駄目だ、そんな目で俺を見てくれるな!頼む、理性が危ないんだ……。

 長門が俺の目の前に立ちはだかる。な、なぁ……今日は場所が悪いって……だから、また今度……な?
「やだ」
 それだけ長門は呟いて、俺を道端に押し倒した。俺はあおむけで長門に四つん這いで乗っかられた。その表情は……反則的だぞ……っ!
「すき」
 俺は右手で長門を俺に抱き寄せ、そして……キスをした。

 ……どれくらい、キスをしていただろうか。何回も息継ぎをしながら、何回もキスをしているうちに、右手が戻っていることに気付いた。

「……長門か?」
「……そう」
 なんだか頬が赤くなっている気がする。たぶん、気のせいではないんだろうな。……じゃ、帰るか。俺の問いに長門は首肯する。

 ……さて、無事に解散場所に着いたはいいが、俺と長門がベタベタして帰って来たことについて、
朝比奈さんにこれまた説教喰らっているのはなんでだろうか。ちなみにハルヒも喰らっている。俺がハルヒもだぞ、と言うとまるでワニが獲物をチェンジしたかのような目つきで、
「涼宮さんもですかぁっ!」
 とか言い出した。まぁいいじゃないか。朝比奈さんがすこしキャラが変わっている気がするがな。……それにしても駅前で正座して説教させられるってのも無茶苦茶恥ずかしいな。

 おい古泉、なんとかしてくれ。
「分かりました」
 どうでもいいがコソコソ話とはいえ、そこまで近づいていいとは言ってねぇぞ。喋ったときにお前の唇が俺の耳に当たるんだよ。

「朝比奈さん、そのくらいにしてはいかがでしょうか」
「いいえ、まだですっ!」

 と、古泉が朝比奈さんを後ろから羽交い絞めにする。おいおい、なんか知らんがうらやましいぞ。朝比奈さんはまだ暴れている。
「離してくださいっ!」
「駄目です。……ゴニョゴニョゴニョ」
 古泉が朝比奈さんの耳元で何かを囁いた。すると、朝比奈さんが真っ赤になった後、急に静まった。なぁ古泉、お前なんて言ったんだ?
「簡単なことですよ。俗に言う脅迫、です。」
 どんな言葉を言ったんだ?
「それならですね……ゴニョゴニョゴニョ」
 俺は朝比奈さん同様、真っ赤になっただろうと思う。
 ……とりあえず分かった。お前が変態ってことは。
「ははは、お褒めの言葉として受け取っておきます」
 褒めてねぇよ。ちなみに、古泉が言った言葉は、
「このままですと、あなたの(禁則事項)を僕の(禁則事項)で(禁則事項)ますよ」
 古泉よ。ホモかと思ってたが、そういうことだったのか。変態め。

「まさかみくるちゃんに説教されるなんて……」
 ハルヒはそうとう落ち込んでいるようだ。しかし俺と長門は体験済みだ。それほど驚かなかった。

 解散だよな、ハルヒ
「そ、そうね……はい、解散!」

 俺は長門をマンションまで見送った後、一人で帰路に着いた。

 寝る支度をした後、布団に寝っ転がり、考え事をするのが最近多い。今日もそれに含まれる。

 ……俺には少し気になったことがある。最初に有希が言ったようにこれがハルヒの望んだことだとしても、明らかに自分自身にマイナス過ぎてしまうんじゃないか?俺の望みも叶う、ということだったが、どう考えてもおかしい。なんであのとき気付かなかったんだ?俺は馬鹿か?そもそも俺の望みをハルヒが知る術が無い。だとしたら、これは誰の仕業か、と問われると、一人しか見当たらないわけなんだが。
 ……長門だ。
 もしかして、長門は有希という性格を新たに作り、それが俺の右手を替わるように何か施したんじゃないか?そして、その理由は……俺命名の『潜在能力開放暴走長門有希モード』になりすまして……?俺の右手のメカニズムならいくらでも後付けできるだろうからな。……それにしても……なぜ……?
 どこまで考え抜いても、答えは出ない。いや、俺がその答えを避けているだけかもしれない……。


 長門は……俺と……その……いろいろ……したかったからか?これは正解だと思う。単なる自惚れかも知れないがな。だが、確実にあの日から長門からのアプローチは増えた。

 ……長門
 お前が何を考えているかは俺には分からないが、これだけは知っていて欲しい。


 俺は、お前のこと、好きだぞ。


第7話『淡い想い』〜終〜

キョン「次回予告!」
長門「次回であって次回ではない」
キョン「どういうことだ?!」
長門「第7.5話『淡い想い』」
キョン「乞うご期待!……って、タイトル同じだぞ」
ハルヒ「次回はあたしが主人公!」
キョン「は?」
ハルヒ「"超"活躍するわよぉ〜っ!」
長門「わたしの出番が……」
キョン「とりあえず、乞うご期待?!」