あー

 いつの間にかそろそろkanonですねbukyoです
 疲れてるんで縮小更新


 昨日くらいに長門スレに投下したSSをはりつけますね


――――――


 わたしは一つの問題を抱えていた。それは非常にちっぽけなもので、本来ならば無視
できるレベルのはずのものだった。あまりにも深く考え込みすぎて、なぜわたしはこのよ
うな事項で悩んでいるのだろうと自分でも疑問に思っている。



―――上靴に、名前を書くべきか。書かざるべきか。

 わたしはもう子供ではない。3年前ならばともかく、今の状態は少なくとも私物をなくすこと
も無いだろう。しかし、念のために書いておいた方が良いのではないか、書いておくとそれが
わたしのものだと比較的楽に見つけることができるのではないか、とも考えてしまう。
 持ち物に名前を書く習慣は身につけておいたほうが良い、と以前朝倉涼子が言っていた。
その時点ではわたしは名前を書くという事項の長所のみだけを突きつけられ、半ば強制的に
納得させられていた。今は違う。わたしは彼女の助言や行動などは、もう必要としない。それ
ではバックアップとしての任務を果たすことが困難になるかもしれないが、わたしには関係無い。

―――ピンポーン

 ふと、チャイムの音が鳴る。たぶん、朝倉涼子。心当たりは彼女しかいない。
 ドアを開ける。やはり。
「こんばんは、長門さん」
 彼女は時々晩御飯を作って持ってきてくれるから非常に助かっている。先ほどわたしは決意
表明をしたけれど、これだけは別。
 スパイシーな香り――この香りは、カレー。……やはり彼女は優秀なバックアップだ。
「入って」
「うん、晩御飯持ってきたわよ。どうせまだ何も食べてないんでしょ」
「……」
「やっぱりね、ご飯、あるよね。……ここ、置くね」
 テーブルの上にアルミ製の鍋が置かれる。食欲をそそる匂いがたまらない。
「ほら、突っ立ってないで手伝ってよ」
 最善かつ最速の方法を。


 食後。皿を洗い終えた朝倉涼子は床に転がっているペンと上靴を見てわたしに言った。
「上靴、名前書かないの?」
 それは、今わたしが悩んでいる事項。あなたが干渉すべきことではない。
「何が?」
 書くべきか、書かざるべきか。
「書いちゃえばいいじゃない」
 それではまるで子供。
「書けばあの人にも名前覚えて貰えるかも」
 あの人、とは。
キョンくん」
 ……。


 
 書いた。